瑞希お兄ちゃんとの入浴体験から一夜明けても、私のドキドキは終わらなかった。





「なにしてんだ、凛?ぼーとして?熱中症か?」

「あ、いえいえ、大丈夫です!瑞希お兄ちゃん!」

「そう言って、油断するなって。今日は朝から暑いから、ポカリを手放すなよ~ほら。」

「はい、もちろんです!」




手渡された水分を抱きしめ、笑顔でうなずく。

本日私は、今日から始まる夏祭りの会場へときていました。

祭り初日ということで、朝から屋台の準備で大忙しです。



「凛、今日は頼むぜ?バイト代、はずむからな~?」

「いえ、僕、お金は・・・」

「わかってるって!小遣いってことで、いっぱいやるからなぁ~つーても、売れればの話だけど!あはははは!」



遠慮する私に、瑞希お兄ちゃんが笑顔で言う。

その顔にときめく。




「僕、頑張ります・・・!瑞希お兄ちゃんのために。」

「可愛いこと言ってくれるな?」



太陽の光を浴び、キラキラ輝いている彼に見惚れる。


湯船で心揺らした私は、今もゆれている。






(のぼせたせいとはいえ、思わず告白しそうになっちゃったけど・・・)






今思えば、モニカちゃんの突入があってよかった。

あれからしつこく、オネェさんからお風呂に誘われたけど、なんとか断った。

その直後に帰ってきた烈司さん達の尽力もあって、あの日のお風呂タイムは無事に終わった。

ヤマトは、烈司さんとしばらく話してた。

何を話したかわからないけど、彼にもプライバシーはある。




(なによりも、私のヒミツを守ってくれる貴重な人だからね・・・)




大事な友達だから失いたくない。


だから、呼ばれた理由も無理に聞くような真似はしなかった。