「私飲み物買うので。ほらほらどいて!」
しっしっと手で追い払う仕草をして私はやっと自販機の前に立てた。
「待ってユズ。買ってあげるって言ったじゃん。俺が小銭入れるから好きなの押してー?」
「し、志麻くんほんといいよ。私自分でっ、うわぁ、やっちゃった! またばらまいちゃった〜!」
チャリンチャリンと。
あぁっ、私の小銭!
志麻くんが小銭を入れようとするから慌てて止めようとしたら悲惨なことに。
自分の手に口が開いていたお財布があることを忘れて、傾けてしまい、中の小銭をばらまいてしまったのだ。
なにやってんのもう〜!
慌ててかがむと、志麻くんと柳瀬くんも地面に転がった小銭たちを拾い集めて私のお財布の中に戻してくれる。
「ありがとう、ごめんねほんと……」
「柚奈ちゃん、おっちょこちょいだねー」
「ユズってもしかして天然とか言われてる?」
「ただのアホだろ」