「陸のアイス無事かなー?溶けてたら泣いちゃうかなアイツ」
「そっ、だね……無事だと…いいよね」
「声出てないけど大丈夫?ユズ体力なさすぎ」
否定できないのが悔しすぎ。
そうですよ、体力ないんですよ私!
校舎内に入っても止まらない汗
落ち着きを戻さない胸の振動数。
照りつける日差しの下を数メートル走っただけでこうなってしまうとは。
体力のなさだけじゃなく、夏のせい。
夏は容赦ないってことだよ!
「ほい、匠の飲み物。ユズから渡してあげな」
「ごめん、ずっと志麻くんに持たせてたね。ありがとう」
渡されたペットボトルを受け取る。
もう片方の手で張り付く前髪を直しながら、志麻くんと3階の廊下を歩いていた。
目指す先は自分たちの教室。