『マジでふざけんな、空気読めよこのバカ雨!
あー萎えるわー!雨のせいでテンション下がるわー!』
やけに荒れているトキユメは、さっきからずっと雨雲に向かってグチグチ文句を投げている。
『もぉー、静かにしてよ。
雨なんて待ってたらやむわよ』
私は欠伸をしながらトキユメへと声をかける。
彼女は酒がきれたらすぐカリカリする完全なるアル中だ。
『あ、何ならテンションが上がる薬を調合しましょうか?』
ミゼリアがとんでもないことを言いだす。
『それ絶対ダメな薬でしょ!』
私の声に、ミゼリアはペロッと舌を出しておどけて見せた。
目的地である辺境の村ソルトナに後もう少しという所まで来て、私たちの行く手を遮ったのはこのどしゃ降りだった。
急いで近くの大木の下まで走って雨宿りしているが、いっこうに雨あしが弱まる気配はない。
『あー長いわーこの旅長すぎだわー。
もうソルトナ着いたら全クリってことにしね?』
何だよ全クリって。
『もう!まだバルデを出て2日目じゃない!
ソルトナに着いたらお酒だって飲めるんだから、気を強くもってよね!』
私はそう言って、死んだ魚のような目をしたトキユメの肩を揺する。
『そうですよトキユメさん。
もしかしたら、ソルトナに私たちが探している魔王がいるかもしれないんですから』
いや…ミゼリアよ、流石にそれは無いわ。
『かもなー…。最悪、ソルトナの村長倒して世界を救ったことにするか』
『最悪にも限度があるよ!!
一体何がどうなったら村長倒して世界が救われんの!?
その場合、もはや私たちが魔王だよ!!』
ここまで来ると、流石の私もツッコミ疲れてくる。
『よく考えろアーリッヒ、もう三巻目なのにまだ最初の村にすら到達していないというこの現状を…』
このアル中は一体何の話をしてるんだ?
『今までのPV数から見ても、もしこれが漫画なら間違いなく連載打ち切りですね』
おい!ミゼリアやめろっ!異世界の話やめれぇっ!
『そ、そうだ!
せっかくだし、二人の夢を聞かせてよ!
魔王を倒した後にやりたいこととかさ…!』
私は少しでも場の雰囲気を和ませようと話題を模索した。
『やりたいことねぇ…。
とりあえずバーでも開きたいかな』
トキユメらしい夢に私は少し安心した。
『世界中の美味い酒で棚を埋めて、ほんで俺が全部飲むんだわ』
バー関係ねぇ。
『私はどこかの貴族と結婚して贅沢三昧したいですわ』
うーん…まあ、ミゼリアらしいと言えばミゼリアらしい夢だ。
『愛する夫は、薬で操ってただ金を産み出すだけの存在にしておけば、私はきっと幸せになれますわ!』
魔女だよアンタ。
『んで、お前の夢は何だよ』
『確かに、アーリッヒさんのやりたいことって気になりますね』
二人はそう言って、同時に私の顔を見つめてきた。
『あれ?昔、言ったのになー。
覚えてない?』
何だか照れ臭くなった私は、そんなことを言って焦らしてみる。
私の夢は幼い頃から何も変わっていない。
いつか必ず、大好きだったお父さんのような…
『あ、思い出しましたわ。
確か、リザイア先生と結ばれることでしたよね?』
ミゼリアの答えに私は首を横に振る。
それは過程であり、叶えたい夢とは少し違うからだ。
『違ぇよミゼリア、コイツの夢はそんな生半可なもんじゃねーだろ』
お、トキユメはきちんと覚えてくれてたのかな?
『アーリッヒ、お前は言ってたよな。
リザイアに鼻フックされながら尻をひっぱ叩かれたいって』
『言ってねぇええええ!!
ちょっとされたいけど言ってないよそんなこと!!』
私はトキユメの頭に踵落としを喰らわした。
『ちょっとはされたいんですか。
だったら今から私が、リザイア先生のかわりにアーリッヒさんの望みを叶えてさしあげましょう』
そう言って微笑むミゼリアのオデコに私はチョップを振り降ろす。
『ちょっと、アンタら私を何だと思ってるの!?』
すると、うずくまっていた二人が顔を上げて声を揃えて言った。
『真面目、時々、変態』
よーし、お前ら歯食いしばれ。
あー萎えるわー!雨のせいでテンション下がるわー!』
やけに荒れているトキユメは、さっきからずっと雨雲に向かってグチグチ文句を投げている。
『もぉー、静かにしてよ。
雨なんて待ってたらやむわよ』
私は欠伸をしながらトキユメへと声をかける。
彼女は酒がきれたらすぐカリカリする完全なるアル中だ。
『あ、何ならテンションが上がる薬を調合しましょうか?』
ミゼリアがとんでもないことを言いだす。
『それ絶対ダメな薬でしょ!』
私の声に、ミゼリアはペロッと舌を出しておどけて見せた。
目的地である辺境の村ソルトナに後もう少しという所まで来て、私たちの行く手を遮ったのはこのどしゃ降りだった。
急いで近くの大木の下まで走って雨宿りしているが、いっこうに雨あしが弱まる気配はない。
『あー長いわーこの旅長すぎだわー。
もうソルトナ着いたら全クリってことにしね?』
何だよ全クリって。
『もう!まだバルデを出て2日目じゃない!
ソルトナに着いたらお酒だって飲めるんだから、気を強くもってよね!』
私はそう言って、死んだ魚のような目をしたトキユメの肩を揺する。
『そうですよトキユメさん。
もしかしたら、ソルトナに私たちが探している魔王がいるかもしれないんですから』
いや…ミゼリアよ、流石にそれは無いわ。
『かもなー…。最悪、ソルトナの村長倒して世界を救ったことにするか』
『最悪にも限度があるよ!!
一体何がどうなったら村長倒して世界が救われんの!?
その場合、もはや私たちが魔王だよ!!』
ここまで来ると、流石の私もツッコミ疲れてくる。
『よく考えろアーリッヒ、もう三巻目なのにまだ最初の村にすら到達していないというこの現状を…』
このアル中は一体何の話をしてるんだ?
『今までのPV数から見ても、もしこれが漫画なら間違いなく連載打ち切りですね』
おい!ミゼリアやめろっ!異世界の話やめれぇっ!
『そ、そうだ!
せっかくだし、二人の夢を聞かせてよ!
魔王を倒した後にやりたいこととかさ…!』
私は少しでも場の雰囲気を和ませようと話題を模索した。
『やりたいことねぇ…。
とりあえずバーでも開きたいかな』
トキユメらしい夢に私は少し安心した。
『世界中の美味い酒で棚を埋めて、ほんで俺が全部飲むんだわ』
バー関係ねぇ。
『私はどこかの貴族と結婚して贅沢三昧したいですわ』
うーん…まあ、ミゼリアらしいと言えばミゼリアらしい夢だ。
『愛する夫は、薬で操ってただ金を産み出すだけの存在にしておけば、私はきっと幸せになれますわ!』
魔女だよアンタ。
『んで、お前の夢は何だよ』
『確かに、アーリッヒさんのやりたいことって気になりますね』
二人はそう言って、同時に私の顔を見つめてきた。
『あれ?昔、言ったのになー。
覚えてない?』
何だか照れ臭くなった私は、そんなことを言って焦らしてみる。
私の夢は幼い頃から何も変わっていない。
いつか必ず、大好きだったお父さんのような…
『あ、思い出しましたわ。
確か、リザイア先生と結ばれることでしたよね?』
ミゼリアの答えに私は首を横に振る。
それは過程であり、叶えたい夢とは少し違うからだ。
『違ぇよミゼリア、コイツの夢はそんな生半可なもんじゃねーだろ』
お、トキユメはきちんと覚えてくれてたのかな?
『アーリッヒ、お前は言ってたよな。
リザイアに鼻フックされながら尻をひっぱ叩かれたいって』
『言ってねぇええええ!!
ちょっとされたいけど言ってないよそんなこと!!』
私はトキユメの頭に踵落としを喰らわした。
『ちょっとはされたいんですか。
だったら今から私が、リザイア先生のかわりにアーリッヒさんの望みを叶えてさしあげましょう』
そう言って微笑むミゼリアのオデコに私はチョップを振り降ろす。
『ちょっと、アンタら私を何だと思ってるの!?』
すると、うずくまっていた二人が顔を上げて声を揃えて言った。
『真面目、時々、変態』
よーし、お前ら歯食いしばれ。