病院ではやはり風邪を引いていると言われました。


「急な温度変化とかに弱いんですよね、小鳥って」


眼鏡をかけた女医さんはそう言って、抗生物質を処方してくれた。



「診療代は4000円になります」


受付窓口で当たり前のように言われた。


「うそっ!」


高い。
小鳥一羽診るだけで4000円!?


「嘘ではありません。初診料が1000円で、診察代と投薬料が3000円です」


ホントなの!?
適正料金なの、これ。


あまりの値段の高さに狼狽えながら支払った。
後から課長に請求する必要があるから領収書も書いてもらった。


「お薬は水で溶いてスポイトで飲ませてあげて下さい」


はい…と気の抜けた返事をする。
飲ませるのは私じゃないからきっと大丈夫だろうと思うけれど。


それにしても。



「値段高すぎ」


犬や猫は保険がきかないと聞いたことはある。
考えてみたら小鳥だって同じことか。


「ピーチ、健康でいないとダメね」


カゴの中を見てみると、小鳥は丸くなって寝ている。
診察中にスポイトで飲まされた薬が効いてきて、眠くなっているんだ。



「寒くないかな」


電車内は冷房が効いている。
これ以上風邪をこじらせてはいけないと思い、持っていたハンカチを翼の上に乗せてやった。


「やっぱり可愛い♡」


隙間に顔を突っ込んで寝ている。
鼻が詰まっているせいか。時折「ググ、ググ…」と苦しそうな音が聞こえる。