毎回楽しみにしていた、楽しい楽しい数学のお時間を、初めてさぼってしまった。


吉野花、本日は非行しまくってます。


しかも今回は芹ちゃん道連れです。


そしてマンガで定番の屋上貸切。


これが非行少女と言うのですね。



「テスト範囲もう終わっててホント良かったー」



そう、芹ちゃんの言う通り幸いテスト範囲は終わっているのだ。


でもだからといってさぼって良いというわけではない。



「ごめんね、芹ちゃん」



鼻声で謝り、泣き腫らした目で芹ちゃんを見る私は、誰が見てもボロボロに見えるだろう。



「謝んないの。ほら目に涙溜まってきてるよ、拭いて拭いて」


「うん」



芹ちゃんの優しさが身にしみる。


状況を話し、把握してくれた芹ちゃんは何も言わず私の涙がひと段落つくまで背中をさすってくれた。


竜門くんが教室を出て行った後、その場で授業終了のチャイムを聞いて、人に泣いているのを見られたくなくて慌ててトイレに駆け込んだ。


そこへ連絡をくれた芹ちゃんが来てくれて、トイレで泣きじゃくる私に「体の中の空気を入れ替えに屋上にいこう」と誘ってくれたのだ。



「屋上って、気持ちがいいね」



2人で青空を仰いでいると、だんだん落ち着いてきた。