朝から、頭がボーッとするとは思っていた。



エマに起こされた時から、身体はだるくもうしばらく横になっていたいと思うほどに。





「魔王さま?」

「・・・いや、なんでもない。いくぞ」



ボーッとする頭を慌てて稼働させ立ち上がる。
いつもならなんとなしにたどり着く食堂までの道のりが酷く長く感じた。




「おはようございます、マオさま」

「・・・ああ」



相変わらずのアドルフにいつものように呼び方を注意することも面倒に思えた。



「マオさま?顔色が少し・・・」




不意に伸びてきた手に慌てて顔をそむけその手を払った。





「俺に触るな!」



アドルフを押しやり、テーブルまで行こうとアドルフの肩に手を置き力を込めた。
しかし、思いの外力が入らず、そのままずるっとバランスを崩した。



「魔王さま!」



後ろから支えるように伸ばされたエマの手。
俺の身体を支えきれるはずもなく、俺ともどもエマは床に倒れこんだ。