「まおーさま!」

「っ!重い!」



着がえも済ませ、城の玄関まで来たところで突然後ろからのしかかられた。
自分よりも図体のでかい男にのしかかられるのは、なんとも屈辱的だ。



「あー、まおーさまとお出かけなんて、俺幸せだなぁ」

「お出かけではない!視察だ!」

「そんなの、どっちでもいいんですよ。俺には」

「お前、いい加減気色が悪いぞ」



なんなんだ、いつもいつも忠誠心という範疇ではなくなってきていないか?
ぞぞぞ、と背筋が凍った。



「そもそも、今日はアドルフもいるのだから、お前がついてくる必要ないだろう」

「なんで!俺は、まおーさまを護衛する騎士ですよ!外に出る時には必ず連れてってください!」

「誰よりもお前が一番危険なように思うんだが」




ここまで引っ付きまわされる必要はないのだ。




「アドよりもまおーさまへの愛は深くて広いんすよ。まるで海のように!」

「・・・海を見たことがないからどんなものかわからんが」




そう言うと、ルカは絶望的な表情を浮かべた。
がっくしと肩を落としようやく俺に引っ付いて歩いていた腕を放った。