新学期を迎えた初日の朝。

 …………事件は起こった。



「おはよーっ」

 靴箱の前で上靴に履き替えていたところ、声をかけられる。

「おはよう、モモ」

「元気だったー?」

 モモに誘われた日に限ってなにかと予定のある日だったりして、モモと会うのは1学期ぶり。

 久々に会ったモモは、最後に会った時と特別変わっていないように思う。

 夏休み中にプールへ行った、バーベキューをしたといったラインが来ていた割に、ちっとも焼けていない。謎である。

 教室に向かう途中、全学年の生徒向けの連絡掲示板の前に人だかりができている。

 まるで、そこに受験の合格発表が掲示されているような、人の集まりよう。

 いつもあの場所には、学校生活を送る上での注意事項や私にとってはどうでもいいようなお知らせが貼ってあったりで、特別目がいくようなものがあるとは思えないのだけれど。

「んー、よく見えないねぇ」

 モモが背伸びをして覗き込むも、そう言う。私より背が10cm以上高いモモでそれなら、私は到底見えるわけもなく。

「どっかの部活が夏休み中にいい成績残したのかなぁー」

 そうかもしれない。うちの中学は男子バスケットボール部と女子バレー部がそこそこ強いみたいだから。

 夏休みみたいな長期休暇のあとにある集会で、いつも表彰されているイメージ。部活に青春を捧げるって、私には想像できない。理解不能だ。