初夏の風が吹いて、徐々に暑さが増してきた6月下旬。
授業中にほおづえをついてうたた寝していた彼を、いつものようにこっそりと盗み見ていた。
彼の右後ろ、つまり斜め後ろの席はあたしにとって特等席で。
相変わらずまつげ長いなぁ…なんて、考える。
…あ、ひじが机からずれ落ちそう。
それに、右手にのっている頭もだんだんと下にさがってきている。
毎日毎日お疲れ様とこころのなかでつぶやいて、板書の続きをしようと黒板を見ようとした、その瞬間。
彼のひじがずれて、音を立てずに机から落ちた。
びっくりして跳ね上がり、周りの人に見られていなかったかキョロキョロして確認する彼は、見ているだけでおもしろい。