☆シエルside☆






きゅるるるる……




誰もいない教室に辿り着き、鞄を机の上に置いた途端。

お腹が空腹を知らせ、そっとお腹をさすった。





「はぁ……」




席に座り溜息をつくと、再びきゅるきゅると鳴る。

僕は空腹を忘れるため、教科書とノートを取り出し、勉強を始める。

昨日の夜2時間だけ復習したけど、

貧血が引き起こす眩暈が出てきたので、やむなく断念して眠りについた。

昨日途中まで書いた数式を最後まで書き、次の数式を書いていく。





きゅるるるる……





カリカリとペンを走らせる音が響くだけの教室に鳴り響く、お腹の音。

ペンを止め、お腹をさすって空腹を紛らわす。




前までは朝ご飯を食べていなかったから、お腹が鳴ることもなかったのに。

最近ではしっかり朝昼晩食べさせてもらっているので、胃が食べ物を求めている。

胃が欲求するまま食べているので、最近では体に肉もついてきた。

僕は余分だと思っていたけど、エル様やドクさん曰く「もっと肉をつけなさい」らしい。




「……エル様、か」




好き。

昨日言われた言葉が頭をよぎり、僕は首を振った。




迷惑でしかない。

害でしかない。

好きなんて言葉は、僕に必要ない。