☆シエルside☆






暖房器具のない部屋は、酷く寒かった。

だけど、今はすごくあたたかい。





「シエル。良かった!」




僕の手を握りながら笑うのは、

ソレイユ王国100代目正統王位継承者である

エル・ソレイユ様。

何故か、僕の手を両手で握っていた。

こうして誰かに手を握られるのは、2度目だ。





「額、触れるね」


「いっ…いやです……」


「前髪上げないから。
熱あるか見たいだけだから。良い?」


「……わかり、ました」





額に他人の手が当たる。

それだけで体がどうしようもなく震える。

いつから僕は他人から触れるのに、こんなにも恐怖心を覚えてしまったのだろうか。