～現在～
　明るい太陽の光が部屋に入ってくる。
｢…朝か。｣
　昨日入ったばかりの部屋だったが前住んでいたマンションの部屋と似ているからかすぐ慣れた。
　昨日は色々な事があったせいなのか頭の中で何かが引っ掛かっているような気がする。
　ひとつ伸びをして立ち上がった。
　新調されたての制服に腕を通し、部屋を出た。
｢なんでこんなに朝早いんだよ…昨日まで諜報活動に駆り出されてたのにぃーっ、ふぅ…｣
　急に横から男性の声が聞こえたので、横をみると金髪の髪を後ろで縛っている男性がいた。
｢あ、あの！おはようございますっ！｣
｢…？あぁ、新人の美琴ちゃんか。おはよう！
俺はエリート諜報員、空野零っだっ！零でいいよ。｣
｢ひゃっ、はい！よろしくお願いします、零さん。｣
　朝から声が裏返った。あぁ、情けない……
　それにしても、ちゃん付けで呼ばれた……複雑な気分…

　零さんとリビングに行くと、とてもいい匂いが漂って来た。
｢おはようございます｣
｢おっはよう！今日の担当って桜だったっけ？｣
　私と零さんの声が被った。
　私達の声に桜さんと平賀先輩が振り返った。
｢おはよう、美琴。それより、零から離れた方がいいよ？馬鹿がうつっちゃうから。｣
　え、そうなの？と言いそうになる。
｢おはようございます、天草さん。よく眠れましたか？｣
　平賀先輩の顔は少し元気が無さそうだった。
　はい、とうなずく。
　頷いた直後、後ろからガタン、という不穏な音と｢イテッ！｣というこちらもまた不穏な声が聞こえた。
　振り返った私はつい、笑いそうになった。
｢桜、い、痛い。痛いって…｣
｢先に攻撃したのは零でしょ!むしろ逆にやられてかっこわるいよ！ははっ！｣
　零さんと桜さん、仲がいいんだな。…零さんがかわいそうだけど。
　ふと、くすくすと笑う声が平賀さんから聞こえた。
　愉しそうに笑うのにつられて一緒に笑ってしまう。
　少しだけ、元気になったみたいでよかった。
｢桜さん、零さん、早く食べましょうよ！冷めちゃいますよ！｣
　今日から、いつもと違う日々が始まる。