4月の下旬。


父の6度目の命日。


あたしは母と一緒に父のお墓参りにやってきた。


お寺の門をくぐり父のお墓へ向かう途中、母は興味深々といった様子であたしを見つめた。


「花凛、最近なんだか楽しそうね。学校でいいことでもあったの?」


「……そう? べつになにもないよ」


「本当に? 最近、頻繁にスマホいじってるし……もしかして彼氏でもできたの?」


ニヤケ顔の母。


「できてないよ!」


母の誤解を解こうとあたしは全力で首を横に振る。


たしかに最近スマホを見る時間が増えた。


ほぼ毎日のように、洸輝とメッセージのやりとりをしている。


たいした用でなくても洸輝は頻繁に連絡をくれる。


もちろん付き合っているわけでもないし、ただの友達として。


だけど、洸輝の存在は確実にあたしの中で大きなものになりつつあった。