【一ノ瀬華のけじめ】

6時50分…早く着きすぎちゃったかな…
でも、遅れるよりかは全然いい。
今日、私は、別れ話をしにきたんだから…‼︎

子供達が帰ったあとの公園は、不気味なほどに静まりかえっている。
風で音を立てながら揺れるブランコに、驚く。

アインを送ってから即、既読がついた。
雄大は、別れ話をされることに気づいたかしら
…たぶん、阿呆だからいた気付いてないわね。

どうか、どうか神様。
雄大を傷つけませんように。
雄大と別れられますように。


街灯が灯る。

7時になった。

静かな公園に足音が響きだす。
この軽やかな足取りは、雄大のものだ…。

『華!ごめんな、病み上がりに、待たせて!』

どこまでこいつはいいやつなんだ。
これからされるのが別れ話とも知らずに、
無邪気な笑みを浮かべる。

『それで?話って、何?』

心臓が痛くなってくる。
全身が緊張してきた。

ごめんね、雄大。
ごめんね。雄大。

「話っていうのはね、私と別れてほしいの。」

風も止み、耳鳴りがするほど静かな公園には、思ったよりも私の声がよく響いた。


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