茜はこれまで両親に甘えて過ごしてきたのを、優也との僅か数日の生活で知ることになった。これまで、そんな両親を労わる気持ちなど持ち合わせていなかったことを恥じた茜は、一緒に両親にも温泉で日頃の疲れを取って欲しいと思い今回の親同伴の新婚旅行を思いついた。


 茜にその話を聞かされた優也は親同伴の新婚旅行を拒めるはずがない。茜の優しい心根に優也は感心させられていた。



「茜は親思いなんだな。」


 優也の優しい言葉に茜はかなり照れていた。そんな茜の気持ちを大事にしてやりたい想いはあるが、優也にとっては複雑な旅行になりそうだ。茜の母親美佐に何度も求婚した優也にとっては、他の女と結婚しその新婚旅行へ恋敗れた女も一緒に連れて行くことになるのだから。


 だからと強く拒めば優也が何故そこまで両親を拒否するのかと疑われる可能性がある。ならば、茜の意見に従い一緒に旅行へ来て貰うのが最善かと思った優也は、茜の代わりに美佐へその事をお願いに実家へと向かった。


 当然のことながら、娘夫婦の新婚旅行に同行する親などいない。美佐は旅行への同行を断った。



「茜は何も知らないんだ。ここで拒否はしないで欲しい。宿泊部屋も俺達と君たち夫婦とは別棟になるように予約を入れている。茜は親孝行の真似事のつもりなのだろう。茜の為に一緒に来てほしいんだ。」


 茜の為にと言われると断れなくなる美佐だった。まさか、娘夫婦の新婚旅行に一緒について行くことになるとは思ってもみなかった。