ケータイ小説 野いちご

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花舞う街のリトル・クラウン

2nd CHapter
hibiscus - ハイビスカス -

hibiscus【華やか】


「改装祝い?」

リルの問いに「そうじゃ」とオリバーは新聞を広げながら言った。

「天幕街沿いにある飲食店が改装して今日からまた店を始めるらしくてのう。店主のご友人に頼まれたのじゃ」

天幕街沿いの飲食店。もしかして昨日リルが歩いたあの天幕街沿いにあったのだろうか。

そんなことを考えていたリルに、オリバーは厳しく「さっさと準備せんか!」と怒鳴りつけた。


「は、はい、今!」


リルは弾かれたように準備を始めた。花屋が使う黒いエプロンを身につけ、道具と花を手押し車に載せる。

それからリルとオリバーは花を届けるためにその店にやって来た。

思っていた通り、店は昨日リルが歩いたあの天幕街の傍にあった。

「リュートの店」

店の看板にはそう書かれている。なんとも単純な名前だとリルは思った。オリバーの店・フルリエルもそうだが、王都の人々はみな店名にこだわりはないのだろうか。

立ち止まって看板を見上げていたリルに、オリバーは「何をぼさっとしとるんじゃ!」とまた怒鳴る。


「仕事なんじゃ、しゃきっとせんか!」

「す、すいません!」

リルは謝ると、オリバーに続いて店中に入っていった。


「よう、オリバーさん」

迎え入れてくれた店主は爽やかな笑顔だった。晴れやかな表情からは、今日の日を楽しみにしていたことがうかがえた。

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