globe amaranth【変わらぬ愛を永遠に】



「なりませぬ!」


怒号が王城内に響き渡る。

城の役人達が怒り狂っている声だ。

というのも先ほどフルリエルを出迎えに行ったはずのシオンがようやく姿を現したかと思ったら、「この娘と婚約する」とリルとの婚約を言い出したからである。

まさに寝耳に水の役員達は、シオンが婚約を望む娘__リルが平民であることを知ると一斉に批判し始めたのだ。


「王子!高貴なご令嬢ではなく平民を妻にするなど何をお考えなのです!」

「将来は王となられるご身分をお考えなのですか!」

「いかに王子とはいえ、王子の一存で決定できませぬぞ!」


完全に否定される姿を直に見たリルは目を見開いて息を飲む。

そして同時に、自分たちの関係が他人から許されないというのは悲しかった。

もしリルが平民ではなく、クレーラのように身分の高い生まれならこんな風に今否定されることはなかったはず。

自分だけならまだしも、自分のせいでシオンまで辛く当たられることは、耐え難いほど悲しい。

落ち込むリルに気付いたシオンは「気にするな」と言った。


「この時をどれだけ待ち望んだと思う。折れるつもりは毛頭ない」


余裕のある顔に僅かに笑みがこぼれる。

一体何をするつもりだろうかとリルが思っていると、シオンは役員に顔を向け嘲笑した。


「この娘が、ただの平民?

本気でそう言っているのか?」