symbidium【高貴な美人】


そして数日後、王族誕生日を迎えた王都は朝から花火が打ち上がるなど盛大に盛り上がっていた。

朝一番に打ち上げられた花火の音に驚いたリルは飛び起きたのだが、窓を開けて見てみると街はお祭りムード一色だった。

その様子に呆気にとられていると、どこからともなく現れたオリバーが言った。


「おい、仕事じゃ」


「お、オリバーさん!?」

リルは驚いた。オリバーがこんな朝早くに起きるなど何事だろう。

「急いで身支度せい」と言うと、オリバーは店のある1階へと降りていった。

呆気にとられたリルだったが、慌てて支度を始めた。


下宿部屋を出て店に降りると、店にはいつになく大量の花が所狭しと並べられていた。あまりにも大量の花に、ここは花園かと見間違えるほどだった。


「リル!手伝え!」


花の中かからひょっこり顔を出した妖精ではなくオリバーが叫ぶ。


「この花、どうしたんです?」

オリバーに尋ねると「決まっとるじゃろう」と言われてしまった。


「今日は王族誕生日__リコリス・ラフィーネ・パルテナ王女の生誕祭じゃ」


「依頼が殺到しててんてこ舞いじゃ」とオリバーは溜息を吐く。この日が近かったからこそ自分の娘や孫に手伝ってほしかったらしい。