高3に進級した。

新しい教室、新しい席、新しい友達。

進級することに不安がなかったわけではない。

でも、今までだって特に問題なくやってきた。

そんな人生がこれから先もずっと続いていくと信じて疑わなかった。

けれど、そう思っていられたのは最初のほんの一週間だけ。

―――あの3人と同じクラスになってしまったのが運の尽きだった。


「マジ臭い。アンタ、風呂入ってんの?」

沢木綾香の声がする。

あたしはそっと視線を声のほうへ向けた。

椅子に座りうつむく子の前に仁王立ちする女子3人組。

「確かにこのあたりだけ超くっせー!!」

「ちょっとちょっと、そんな下品な言い方しちゃだめだよぉ」

「だって、くさいんだからしょうがないっしょ~?」

暴言を吐く小山田マミを甲高い声でたしなめる渡部みやび。

目の前で悪口を言われていた女子はうつむいたままピクリとも動かない。