【優亜side】

「すごい……」

思わず声が漏れる。

カンナの話は驚きの連続で、それに聞き入っていたせいで喉がカラカラに乾いていた。

運ばれてからしばらく経ってしまったせいで氷が溶けて薄まったオレンジジュースをストローで一気に吸い上げる。

「そうかなぁ~?」

「どうやってこんな情報を掴んだの?あたし、全然知らなかったよ」

「ちょっと……色々なツテがあるの~!カンナの家、お金だけはあるからっ!」

カンナは誇らしげに鼻を鳴らす。

自慢に聞こえるその言葉もカンナが言えばなんてことはない。

カンナの家は自他ともに認める大金持ちだ。

「西園寺家ってすごい有名だし、カンナはお嬢様だね」

本来ならば、あたしとカンナは天と地ほどの差がある。

大金持ちの西園寺家の娘であるカンナと気軽にしゃべれる間柄にはなれるはずもなかった。

「お嬢様~?そうかな~?でも、カンナが自由にしていられるのは全部おじいちゃんとパパのおかげだし感謝しないとねっ!」

カンナがにんまりと笑う。

「だけど、どうしてカンナはこの学校に転入してきたの?カンナなら私立のお嬢様学校だってよかったはずなのに」

カンナは高2になってから転校してきた。

数か月おきにコロコロと学校を変えているという噂を耳にしたことがあるけれど、本当だろうか?

「え~?だって、この学校がよかったんだもん!って、もう!優亜ちゃんってば~!話がズレてるよぉ~?」

カンナは天使のような笑みを浮かべると、再び話し始めた。