「――偽善者ぶってばっかじゃないの?」

沢木綾香はあたしの肩を右手で押した。

その目は鋭い光を放っている。

「あたしは偽善者ぶってなんていないよ」

「アンタも懲りないよな。柴村静子のこと放っておけって言ってるだけじゃん?どうしてわかんないかなー」

「柴村さんは関係ないから」

「関係なくないだろ~?アイツのせいで今、アンタこんなところに呼び出されてるんだし」

小山田マミが呆れたように鼻で笑う。