「……て、ことで、改めてお疲れ~」


その声に合わせて、グラスの重なる音が個室に響き渡った。




結婚祝いのパーティーを開いてもらってから、わずか三週間後。

まさか今度は『離婚お疲れ様会』を開いてくれるとは思わなかった。


あの話し合いの翌日に、圭悟の浮気相手は早速慰謝料を入金してきた。
圭悟もまた、提示した金額よりも少し多めに慰謝料を入れていた。

私はそれを確認後、離婚届を提出したことを圭悟に話す。

圭悟は相変わらず電話越しに『ごめん』を繰り返すばかりで、そのしつこい『ごめん』に嫌気がさした私は、『ごめんで済まされるなら、警察なんかいらんわ』と冷たく返し、電話を切った。


離婚届も出した。
慰謝料も振り込まれた。

これで完全に圭悟とは赤の他人に戻った。



私の両親は圭悟の浮気にかなりキレていたけど、あちらは私の要望を全てのんでくれたし、もう済んだこと。

私はもう圭悟たちとこれ以上関わりたくないんだ、とそう説得し、今にも乗り込んでいきそうな両親をなだめた。


一通りことが済んだ後、予約していた結婚式場へ取り消しの電話を入れる。

理由を話す事を渋る私に、担当してくれる予定のプランナーさんは、何かを感じ取ったのか優しい言葉を掛けてくれて、その言葉がやたらと身に染みて、電話越しに号泣してしまった。




慌てるプランナーさん。

次に予約をしてくれたらめいっぱいサービスしますから!、そう言ってくれた。

次は来るんだろうか、また恋なんて出来るんだろうか。
若干不安はあるけれど、その言葉がとても嬉しかった。


こうして最初の結婚生活はわずか3か月で終わり、私にはバツがひとつ付いた。