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あ、圭哉くんだ。


季節はすっかり、夏全開。


お日様がガンガン照りのグラウンドで、これから体育らしいジャージ姿の圭哉くんを発見。


「外界から細胞内に取り入れた単純な物質をもとに─────」


生物の先生の声は、どこかぼんやり遠くで聞こえるけど、私の視線は黒板……ではなく、窓の外の豆粒サイズの圭哉くん。


これくらいの距離から見てる方が、ただの王子様みたいでいいのに。


───────バチッ


「っ、?!」


不意に圭哉くんと目が合った気がして、思わず声が出そうになるのを必死に堪えた。


目…合った?


いや、でもまさかね…圭哉くんから見たら私も豆粒サイズのはずだし。