ーーー悠莉目線ーーー

私は生まれた瞬間から神に愛されていた。
私は人にはみえない神々の国オリュンポスに生まれた。母親のことも父親のこともなにも教えられず、ただ神王ゼウス様の庇護のもと宮殿で育った。
何不自由ない暮らし。何の不満などない..。
ただ最近よく神々から名を間違われることが増えた。〝ゆーり〟といつもなら呼んでくれるのに〝パンドラ〟と間違われることがよくある。ニュアンスも全然ちがうのに、何故間違うのか不思議でならなかった。
私は戦の女神アテナ様に剣術や神術を習っていた。稽古のあと、なぜ名前を間違えるのか、パンドラとは誰なのか、というとアテナは私を抱きしめ切なげな声でいった。
〝すまない。ゆるしてくれ…悠里…〟


『それでは答えになってないです。』なんてとてもじゃないけど私には言えなかった。

私は神々にとても愛されている。オリュンポスの12柱の神以外にも冥界の神。ギリシャだけでなくエジプトの神、インドの神、高天原の神々、北欧の神・・・。
様々な神に愛された。どんな神も私をひと目見るとギュッと抱きしめ。
〝逢いたかった。本当によく似ている〟
そうつぶやいた。私はそれが大嫌いだった。
〝本当によく似ている〟誰を指すのかなんてすぐにわかった。
『..パンドラ..…』