最近逃げること多いな……

なんてことを考えながら走る。

後ろの麻里奈が

「なあ、なんで殴っちゃダメなの?
なんで?」

とうるさいが、走る。

状況をのみ込めていない心が頭に、はてなマークを浮かべているが走る。

この時はその場からなるたけ遠いところに逃げることしか考えてなくて

だってあいつら一応お坊ちゃまだから。

お坊ちゃまぶん殴るとかマズいから。

あの場にいたら麻里奈は確実にあいつらボコってたからね。



……この辺でいいか?

ピタリと止まったそこは校舎裏

ハアハアと息が荒い俺に対し、全く息の上がっていない二人。

なぜだ……

「沙耶香ー、なんでダメなの?
あんなヤツら殺されてもしょうがなくね?」

「ダメなものはダメなの!
つぅか殺すのは確実にアウト!」

余計に息がきれる。

「えー
けどあいつら沙耶香のこと見てるのムカついたし……」

「俺じゃないから!!
見られてたのは心だから!!」

そう言われ、初めて心と目を合わせた麻里奈。

「あ、この美少女ちゃん?
かわいいね、この"女の子"
まあ沙耶香には劣るけど」

あ……麻里奈……

「どこに女の子がいるの?」

微笑を浮かべる心

……目ぇ笑ってねぇけどな

あー、うん

心、女みたいに見えるの気にしてるからね。

女の子かー、うん……

「心、怒らないでね……?」