俺がお前に会ったのは去年の夏だった。


はっきりそれは覚えてるよ。


お前は高校一年で野球部のレギュラーを取り地区大会に出ていた。


地区大会は二回戦で強豪に当り惨敗したよな。

その時球場の観客席に向かって帽子を脱ぎ頭を下げたお前を見た時にゾクゾクとした。

触りたくなったんだよ。


俺は女の子が好きだったのに…


クラスが違うお前とは、たまに廊下ですれ違うくらいだったが、俺はお前を見る度に触りたくなったんだよ。


周りとは少し違うお前を。

俺を変態だとか思ってくれても仕方ない。


だけど、お前に俺は触れたいんだよ。


それを思うと時に眠れなかった。


お前はいつも同じだった。


俺のこういう気持ちなんて知らなかっただろう?


俺はマニアだとバレて中世の魔女狩りのように火炙りになっても仕方なかったかも知れない。


付き合ってる彼女は居たが俺はお前に夢中で段々と彼女に対して冷たくなったと思うよ。


彼女は何度もどうしたのと聞いてきたが、俺は答えられずにいたために別れてしまった。


お前の事を話せないだろう?そうだろう?


お前が特別だって事は話せないんだよ。


周りに普通の人間と見られたいからなんだよ。


卑怯な奴だと思ってくれよ。


だけど、お前に対する気持ちは本気なんだよ。


そういう時に運動会の季節がやって来てクラスが違うお前と組体操をする事になったのは驚いたよ。


大がかりな、組体操の為に二クラスが合同でやる事になったからだが俺は嬉しくて色々批判のある組体操に感謝したよ。