「え⋯?客?今日は閉まってるはず⋯」



ドアの前で祭莉を見て驚いているのはとても可愛い男の子。


(え⋯っ?春叶さん呼んだほうがいいの⋯?)



「あ、ごめんなさい。驚かせて⋯」



眉を八の字にしてしゅん、と小さくなる男の子。少し高めの声も可愛らしい。



「あ、汐遠。おかえり!遅かったね?⋯あれ?朔夜は?一緒じゃなかったの?」



心の中で慌てる祭莉をよそに涼やかな顔で奥からお盆を持って出てきた春叶。



「⋯ただいま。朔夜?朔夜は電車で寝たから置いてきた⋯」



春叶が相槌を打ちながら程よく湯気のたった紅茶を祭莉の目の前に置く。



「え⋯。それ、置いてきたらダメだよね?朔夜大丈夫かな⋯。ま、大丈夫だと思うけど⋯。⋯あ、紅茶どうぞ。熱いと思うから気を付けてね。」



「あ、はい。ありがとうございます。」