二人で校舎へと足を踏み入れる。昇降口はとても広く、沢山の人でがやがやしている。



「わ⋯結構人、いるんですね」



「ん。まぁ九割型闇ノ住人だけどな」



ふと、前の学校の光景が重なる。クラスメイトは元気にやっているのだろうか、そんなことを考えていると朔夜がのぞき込む。



「祭莉?どうした?」



「え!?あ、ううん⋯ちょっと、ね。前の学校を思い出してたの⋯!」



悲しい気持ちを押し殺し、微笑む。それに気づいたのか気づかないのか、朔夜が優しく頭を撫でる。



「そうか⋯。」



「⋯ちょっと!廊下でなにやってんの⋯?」



「おー。りんじゃん〜。今日は朔夜と一緒かー」



急に声がして、その声の方を向く。そこにはニコニコと笑った幾夢と、少しむくれている汐遠が教科書を抱えて立っていた。