*千尋side*



『千尋先輩、僕は先輩のことが好きです。』


『僕は必ず、先輩の事を幸せにします。不安な想いなんて絶対にさせない。
心の底から先輩を笑わせてあげますから、
・・・だから』





ー 『僕のこと、好きになってください』




ぐるぐると脳内でまわるその言葉。

不覚にも、少しときめいてしまった。


彼氏がいるのに、

恭が、いるのに……ーーー



「ー…ろ。」


どうすれば、いいのーーー…


「…ちひろ?どうした、ぼーっとして。」

「あ…ゴメン。なんでもない…」

「変な千尋ー」


そう言って、くすくす笑う私の彼氏。

私が好きなのは、恭だよね?


「そーいや、今日放課後暇?俺おごるしさ、どこ行く?」

…恭は?

恭は私のことどう思ってるんだろう…。

いつも、
『私のこと本当にすき?』
そう聞けば、はぐらかすよね。


「…おーい?千尋ー?」

「あっ、ごめ…っ
…き、恭?」


ぱしっ、

まるでそんな音がしたのではないかというように、
恭に腕を掴まれる。


ーーそして、


「…もしかしてさ、

”あの”後輩に何か言われた?」


そう、言った。


「え…っ?いや…」

「…何て言われたわけ?」


さっきまで笑顔だったのに、急に無になる恭。


ギリギリと、私の腕を掴む力が強まって行く。


「い、痛いよ…恭……?」

「なんて言われたかっつってんの」


…っ

恭の爪が腕に食い込み、少し血が滲む。


「…なあ、答えろよ」

どうしてそんなに、怒ってるの…?