-達巳Sibe-

『…二度と戦わない。そう決めたんだよ』

そう言った響の顔は、とてつもなく悲しげに見えてしまって…何も言い返せなかった

俺は、この一年間の響を知らない

でもずっと探していたんだ

”紅蓮“としての響じゃなく、響自身をずっと……俺の大切な人を

響が女だと知ったのは最後に会った日の事だ

…あれが最後だなんて、思いもしなかったが

『……はっ?響が、女??』

『そーだよ。俺、頭だからさナメられねえように男だって言ってはいるけど、実は女なんだよ』

いつものように喧嘩して負けた俺は、なんでそんなに強いのか聞いた

細い身体のクセに、笑った顔が女みたいだったから

でも実際は本当に女で、男のように強くて凛々しい姿をしていたアイツに…俺は驚くしかなかった

でも、何故今更そんなことを俺に教えたのか不思議だった

だから響に聞いてみた

『…なんで、今更んなこと言うんだよ?隠してたんだろ?』

『んー、なんとなく?達巳は大丈夫な気がしたからさ』

その時の響の笑顔は、今でも忘れられないモノだった

そして気付いたんだ

……ああ、俺はコイツに惚れてんだって