「戦闘性……って言われてもね」



ルールブックにはたしかに細部まで徹底的に定められた戦闘ルールが載っている。


けれど、その仕組み自体に馴染みがないからか、どうも実感がわかないのが正直なところだった。


それはみんなも同様なようで、ミーティングルームで顔をつき合わせながら「なにこれ」「知らねえ」とやる気のない会話を交わしている。


日向はとうとう耐え切れなくなったらしく、ここへ来る途中で寝てしまった。


今もあたしの膝の上ですやすやと気持ちよさそうな寝息をたてて眠っている。


向かいに座っている恭也も、心底面倒くさそうな顔をしながらちゃんと目を通しているようだった。



「……あたし、てっきりもっとハデなもんかと思ってたんだけどなぁ」


「まあなんでもかんでも許したら、もはや秩序どころじゃなくなるからな。ある程度のルールは必要だよ、姫ちゃん」



でもなーんか、しっくりこないんだよね……。


ユキちゃんの言う通り、なんでもかんでもアリの戦闘だったらそれこそ戦争となんら変わらない。


もちろん命の危険だって出てきてしまうし、むしろ天才だからこそ、ある程度ルールに縛られたなかで生き残りをかけて戦う必要があるんだろう。


そう頭でわかってはいても、あたし自身が戦闘生活のなかに入れないからか、それともこの制度自体に不満があるのか、いまいち納得がいかないのだ。


この複雑な気持ちを率直に表現するのなら────。