翌日。
あたしはいつもよりも気合を入れて、家を出た。


「いってきます!」


ママに元気にあいさつもして、すぐに隣の家を見た。

もう行っちゃったかな……。

一緒に学校行こうなんて約束をしたわけじゃないから、それでもしょうがないんだけど。

ちょっとだけ……、待っててみようかな。……とか。


そんなことを考えて立ち止まっていると、隣の正面玄関が開いた。

――ガチャッ、リンリーン。

いつものベルの音も、今日は違って聞こえる。

違うのは、あたしのこの気持ち。


「いってきます」


低くて、少しの甘さを感じるその声に、自然と背筋がぴしっと伸びた。