ひらひら、ひらひら。 たくさんの桜が降ってくる。 これを見るといつも思う。 また、この季節が来た。 春なんて、嫌い。 「何してんの、伊紅(いく)」 「…伊澄」 そこにいたのは双子の弟の伊澄(いずみ)。 「別に。」 「考えてたこと、当てようか」 にやっとして、言う伊澄。