志乃が大泣きした日から1カ月近く経とうとしたある日のお昼休憩中に1つのLINEが入った。

[今週の金曜日って予定ある?]

1カ月近く連絡をとっていなかったのにお互いの近況報告もなしにいきなり自分の用件を伝えようとする志乃に相変わらずだなぁと苦笑しながらすぐに返信する。

[ないよ]

シンプルな返信を返すと

[晩ご飯食べに行こう]

即座に既読がついて返ってきた。

志乃ちゃん、あなたは仕事中じゃないの?

なにしてるんだか‼︎と笑いながら、可愛いオッケーマークのスタンプを送り返した。

[時間と場所は後で連絡するね]

ハートマーク付きで返ってきて、何かあるなと思いつつそのまま流していた。

そして、前日、志乃から指示された駅前で待っていると、身なりを整え、普段よりメイクに気合いの入った志乃が現れる。

「お待たせ…ちょっと杏奈、その服、地味じゃない?」

「仕事着も兼ねているから仕方ないじゃないの」

「もう、着替えぐらい持っておいでよ」

ご飯食べに行くだけなのに…着替えが必要?と口を尖らせてみると、肩をすくめた志乃は仕方ないわとつぶやき私のブラウスのボタンを1つ2つと外し満足気に頷いた。