ウッ…頭痛い…

ズキズキする頭を押さえ体を起こすと、見覚えのある部屋だった。

私の部屋だよね⁈

肌掛け布団の中でモソモソと動く生き物にギョッとなり、叫び声を両手で塞いだ。

な、なに?

どう見ても人がいるようにしか見えない。

えっ…私、やらかしたの?

慌てて自分の衣服の乱れを確認すると、なぜかルームウェアに着替えていて、下着もつけているし体にもそれらしい痕跡はない。

よかった…

ホッとしていると寝返りをうった人物が肌掛け布団の中から顔を出した。

ど、どうしてあんたがいるのよ?

いや
いいんだよ。

志乃だもんね。

でも、どうやって帰ってきたんだっけ?

私は、大学を受験する弟の邪魔をしたくないと言う理由をつくり、この春から1人暮らしを始めた。一人っ子で実家暮らしの志乃は、時たま泊まりに来るようになっていたから、この部屋にいる事に何の問題もない。

だけど…記憶がないんだよね…

どうやってここまで来たの?

思い出そうとしても、思い出せない。

思い出すのは、コンフォルトで会った五十嵐さんの意地悪な顔だけ…

あーヤダヤダ。

腹が立つのに、やっぱり好きだなぁと思ってしまう。