−にゃおぉ〜ん−



「この泣き声は“チョコチップ”だわ」



夜の9時を過ぎると

決まって
公園の野良猫たちが

この研究所の玄関先に

おなかをすかせて集まってくる。



「もぉ…そんな時間か」



博士が ちらりと
あたしに視線を送ってくる。



−にぃやぁ〜ご〜−



「この泣き声は“マドレーヌ”」



−なぉ〜ん−



「今日は…ぉ客さんが多いみたいだな」



−みぃ みぃ−



「本当!!“マーブル”と“キャンディー”まで居るみたい」



いつの間にか仲良しになった野良猫たちに

夜ご飯を あげるのが

研究所での
あたしの一番最後の仕事。



「明日はバイトぉ休みだから…ちょっと遊んで行こうかな??」



わざとらしく

ちょっぴり博士から
視線を外しての独り言。



「もぉ少し手伝いでもしていくかい??」



あたしの言葉を

待ってましたと言わんばかりに

すかさず博士が声をかけてきた。



「鷹里博士が…どぉしても手伝ってほしいってゆうのならっ」



考えてあげてもイィですよっ。



とびきり笑顔で振り返る。



バイト先のパン屋さんから頂いた

野良猫ちゃんたちの
ご飯を手に取って

元気よく
外へと飛び出す。



やっぱり やっぱ…

あたしは博士の笑顔に弱い…。



あんな笑顔を見せられたら…

胸が
ドキドキで

いっぱいになっちゃうよ…。



「みんな!!お待たせぇ〜」


一番 始めに近寄って来た

黒い斑点模様
ちょっぴし丸っこい
この子が“チョコチップ”


こっちの綺麗なオレンジ色の毛並みをしているのが“マドレーヌ”

少し短くて潰れた尻尾の形が

マドレーヌそのものなの。



毛並みのがマーブル模様の子は“マーブル”



子猫の中で

一番 小さい子が“キャンディー”

ふわふわの真っ白い毛並みに

透き通ったブルーの
真ん丸い瞳が

とっても愛くるしいの。