小さな公園の裏にある

古めかしい建物から

夜な夜な聞こえてくる
秘密の作戦会議…。



「鷹里-たかざと- 博士!!やっぱり あたしは“お菓子のなる木”の発明に力を入れるべきだと想うでありますっ!!」



掲げられた大きな黒板には

チョークで

なにやら暗号めいた記号が書きなぐられている。



まるで

学校の理科室を連想させるこの一室が

秘密の作戦の

言わば会議室。



あたしは



これまた

部屋の真ん中に設置されている

大きなテーブルに
爪先立ちで身を乗り出して


片手をピンと伸ばしながら


回転椅子に深々と腰を落ち着かせている

白衣を着た男性に提案をする。



「それがダメなら“どんなに取っても無くならないフルーツのなる木”を発明すべきです!!」



さらに

うんと手を伸ばしてみるケド…



博士は ちっとも

右手で口元を覆ったスタイルを崩してくれない。



「美月…君は本当に食べ物のコトしか考えられないのかい?!」



いつもの様に

ため息混じりで呆れられても

あたしは めげない。



「他にも空の雲を綿菓子に変えちゃう虫取り網とか…ただの お水をジュースに変えちゃうコップとか…降ってくる雨を飴に変えちゃうレインコートだとか…」