――神雷の洋館に着いて、利央が作った豪華な料理と蜜のリクエストのいちごタルトを長テーブルに並べると、私を救出する作戦の成功を祝したパーティーが一階の大きな大広間で行われた。


前に来たときはいなかった下っ端さんたちを含めて始まったそのパーティーは、派手に盛り上がっていた。



「それ、僕に譲ってよ」


「いやいや、こういうときは年上に譲るのが常識だろ?」


「いやいやいや、こういうときこそ年下に譲ろうよ」



蜜と恭弥は、最後のローストビーフを巡って火花を散らしていた。



「じゃあ、俺がそれをもらおうかな」



と、蜜と恭弥が口喧嘩をしてローストビーフから目を離したうちに、間に入った利央が最後のローストビーフを自分の皿に取った。




「「あああ!!」」




ローストビーフを利央に取られ、蜜と恭弥はほとんど同時に声を上げる。



「何してくれてんだよ!!」


「それは僕のだよ!!」


「取ったもん勝ちだよ~。あ、そうだ、由楽!“侍”の話を聞かせて!」



利央は蜜と恭弥にドヤ顔をすると、二人から逃げるように私のところに駆け寄ってきた。