あれから今日でちょうど3年。
『怪盗乱魔』も『天才』と言われるようになった。
俺の予想通りだ。
だが、宝とかは盗んでねーんだ。
取って、なんらかの方法でそいつに返す。
そしたら、世間に『なにも盗まない脱出の天才』と言われるように。
……なんだよ、脱出の天才って。
いや、確かになにも盗んでねーけど、もうちょいカッコいい名前なかったのかよ。
『乱魔』って結構カッコいいだろ?
それに似合わなすぎっつーの。
なんて、今は文句言ってるときじゃねぇ。
絶賛仕事中。
ま、集中しなかったら……
『乱魔!集中しろよ!』
ほらな。
お仲間、空海様がお怒りだ。
「集中してるって。なんで今日はそんなイラついてんだよ」
『なんか変なんだよ』
「変ってなにが?」
『警察相手なのに脱出がしにくくなってる。下手すればあっという間に捕まるぞ』
なるほど。
強力な助っ人でも手に入れたか?
ま、どんなことがあっても脱出して見せる。
『天才』だからな。
『とりあえず作戦通りに行け。あとはお前が得意な臨機応変で』
「ふっ……」
作戦はちゃんとある。
だけど、今回はそれが通用しないかもしれない。
だから、俺が思ったままに行動しても怒られることはない。
そう思うと、自然と笑みがこぼれた。
『極力作戦通りでやれよ』
空海はエスパーか?
なんで俺が思ったと同時にそんなことが言えんだよ。
「ちぇっ。了解」
俺はわかりやすく舌打ちし、気持ちを切り替える。
さあ、ショータイムの始まりだ!