翌朝、俺はみさきの手を引いて倉庫に向かった。



「……!?」



倉庫の中に足を踏み入れると見覚えのある人物──



ラビットの代理人が。



どういうことだ!?


みさきの保護者がこの男!?



俺は1人で混乱していた。


だが、俺の正体がバレることはないはずだ。


こいつと会ったときには『乱魔』だったわけで。


『乱魔』の格好をしていたから、普段の格好から俺が『乱魔』だとわかるわけがない。



そう思い、恐る恐るその男に近付く。



「……あの……」


「はい……?あっ……!」



男はみさきを見ると、すぐに抱きついた。



「よかった……。無事だったんだね。心配したんだよ?」



わりとちゃんとした親みたいだ。



「じゃ、俺はこれで」


「あ、あの!」


「はい?」


「お名前、聞いても……?」



……ん?


なんか、違和感しかねーんだけど。



こいつ、『乱魔』に会ったときとキャラ違わね?



というか、名前だよな。


本名で問題ねーかな……



「成瀬です」


「成瀬さん、ありがとうございました。僕、住吉雪兎(すみよしゆきと)と言います」



やっぱ違う。


だが、このほうがしっくりくるのはなぜだろうか。


昨日のこいつのキャラは浮いてるような感じがしていた。



ってか、住吉って言うんだな。


じゃあ『住吉みさき』ってことか?



「それでは……」



すると、住吉がみさきの手を引いて倉庫を出ようとしていた。



「あ、はい」



みさきが振り返って俺に手を振ってくる。



……天使だ。


なんてな。