きっと、ここに居る。


桜が舞う校門の中には、
溢れるほどの、希望が待っている。


――・・・・・と、信じていた。



「朱羽はどうすんの?」


「へ?」


中学三年の夏。


周りが進路を決め始める中、私は一人。


白紙のままだった。


「そろそろやばいんじゃな〜い?」


「ま、それは〜。そうなんだけどさ。」


中野朱羽-ナカノアゲハ-


珍しい名前でしょ?


昔はこの名前が大っ嫌いだった。

アゲハ。


なんて、蝶でしょ?


虫じゃん。


ム・シ!!!!!


そのせいで、昔っから馬鹿にされるし。


好きな人には、


『お前ムシじゃん、気持ちわりぃ』


とか言われるし。


おかげで、私の初恋はあっさり散ったよ。


・・・・・・・・でも、


今はこの名前。


大好き!


何でか・・・って言うと、


「朱羽ー?行くよー?」


「あ、はーい!」


とりあえず、今はまだ内緒、って事で!


「ちゃんと考えなよ?朱羽ぁ、」

「はいはい、」


決めてもいいかな、って学校もあるんだけどさ。


けど・・・・・・。


どうしても。


どうしても。


決めらんない理由があるんだ。