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「はあ!? 先輩と付き合うことになったあ!?」


「うん!」

次の日の放課後。

泉美が昨日のことを早速百合に報告すると、百合は信じられないとでもいうように目をぱちくりさせた。



「……私、運命とか信じてなかったけど……今日から信じるわ」


「え、なんで?」


「だって、あんたの不可能に近いような理想に叶う男が、やっと現れたと思ったら両思いって……これはもう信じるしかないでしょ!!」



「え、えへへ〜。そうかな〜。両思いかあ……」


ひとりでふわふわしている泉美にため息をつくと、百合は胡乱な目で頬杖をつく。


「で? 誰なのよ、その先輩って…」


そう言われて、泉美は百合には先輩の名前すら言っていなかったことを思い出す。


「篠宮 俊先輩っていうの……」


「……え、篠宮 俊!?」


目を見開いて椅子から立ち上がった百合に、泉美も驚いて目をぱちくりさせた。


「え、知ってるの?」


「……や、知ってるっていうか……中学が同じなんだけど……」


そこで百合は何かを思い出すような仕草をしながら、首をひねった。


「確かあの人、女になんか興味無いって感じの人で、眼鏡もかけてなかったはずだけど……」


「え、そうなの?」


泉美の中では俊=ノンフレームが似合うかっこいい先輩なので、眼鏡をしていなかったというのは違和感しかない。


「そうよ。高校入ってからかけたのかしら? 何で…」


そこまで言うと、百合はなにかに気づいたようににやりと笑った。