みんなが有紀の死体を囲み、動けなくなっていた。


目の前でクラスメートが苦しんで死んだのに、あたしは何もできなかった。


続のように×印を塞ごうだなんて、考えも及ばなかった。


そんな自分に落胆しながらも、何もできなくても当然だと思っていた。


突然こんな場所に連れてこられて、手も触れずにクラスメートが殺されたんだ。


あたしに何ができたというんだろう。


「……これからどうすればいいの?」


あたしはそう呟いた。


ドアも窓も開かない。


助けも来ない。


周囲には友人の死体がある。


そんな教室にいるだけで発狂してしまいそうな精神状態だった。


続がポケットからスマホを取り出して時間を確認した。


「夜の7時を過ぎたところだ……。どうすればいいか、少し冷静に考えようか」


ここで目が覚めてから1時間くらいしか経過していない。


それでも、あたしの体はグッタリと疲れていた。