ドアの前から動いていいのかどうかもわからず、そのまま数分が経過した。


いい加減文句の1つでも言いたくなった時、スピーカーからあの声が聞こえて始めた。


《リプレイお疲れさまでした。正確性の判定が終わったので、これより制裁の時間に移ります》


機械的な声がそう言う。


「え? 制裁って……?」


有紀が焦ったような声を出す。


「わからない」


あたしは左右に首を振ってそうこたえた。


アナウンスでは《制裁》なんて事言っていなかった。


だけど、この中で一番正確性に欠ける《リプレイ》をしたのは、間違いなく有紀だった。


「大丈夫だよ。そんなに心配することないって」


あたしはそう言い、不安そうな顔を浮かべている有紀の手を握りしめた。


すると、その手の甲にうっすらと何かが浮かび上がって来るのが見えたのだ。