だんだん、自分の気持ちにも気づき始めた。
恋の練習のはずが、私は苦手だったはずの水野こうきに恋をしてしまった
悔しいけど、彼といる時間がだんだん楽しみで特別だった。

でも、私達は仮のカップル。練習、暇つぶし。
きっと、この恋を続けると私はまた傷つく。
また、傷つく。
次こそ立ち直れないかもしれない。

放課後、こうきと下校することにした。

「こうき…」

「ん?」

「いきなりなんだけどさ、私たち終わりにしない?じつは好きな人できたんだ。今なら、頑張れると思うの」

「あ〜よかったじゃん。次いけそうなんだ」

こっちを向いてくれない、こうき。

じゃあね、と去っていく背中。
好きなのは君だよ。ありがとう。


1人になってから、突然涙が溢れた。
好きだよ、好きだよ。
本当はもっと一緒にいたかった。
傷つきたくなくて自分を守ることしかできない。

そんなことでまた逃げるの?
傷ついてもいいと思えるほど、好きになってしまっていた。

今しかない。
そう思った私は、何も考えず走り出した