「なー、かしゅー様。デートしよ?」


「いきなりなんや。」


「ここ来る途中でな、学生カップル見てん。うちもかしゅー様とあんなんしたいなー思おて。相合い傘とか二人乗りとか制服デートとか。」



柿蒲の思い描くデートは少女漫画みたいである。



「単純やなー。雨は降りそうやけど、二人乗りは犯罪やし、お前の制服はコスプレにしかならん!」


「こーぞーさん強運やし、ホールインワンでも出しとるとええな。」



律儀に突っ込む涓畤壟とは違い、サラリと別の話題へと移る鰍掩。


楮筬は組員とゴルフなのだが生憎の空模様だ。



「けど、制服デートええよね。うちらもそんなんしたかったわー」


「それどころやなかったもんなぁ。漫画もアニメもバラエティーも、映るもん全て現実の僕達と違いすぎてアホらしーて。」



「いつまでもガキんまんまでおられへん。あんたらは、それがあん時やっただけや。」


「そーですね。」


「そーゆーことにしときますわ。」



剣と碑鉈夫妻は幼なじみ。


両方の親が残した多額の借金を全額返済し店まで持てるようになったのは、借金を肩代わりしてくれた絆栄商事と鰍掩の尽力あってのことだ。