ケータイ小説 野いちご

キミの隣で恋をおしえて

03.キスと秘密基地。




恋というものを知らないあたしは、気の利いた慰め方など知るはずもなくて――…。


『あ、あたし、歌でも一曲歌いましょうか…!?』

『………いらない』

『あ…、あ、だったら、あたしの笑える失敗談とか…』

『………それなら一昨日の騒動でお腹いっぱい』

『………。』

『もう少し、こうしててよ』


耳元で、そう囁くのはズルイ。

このシチュエーションは、例え好きな男じゃなくても、完っ全に落ちるだろう。

夕焼け。屋上。腕の中。

フェロモンなのか、いい匂いはしたし。

腕の中、温かかったし。

しかも最後に。


『……明日は殻の入ってない卵焼きが食べたいな』


なんて言うのも反則だ!

あんな酷いお弁当だったのに、全部綺麗に食べてるっていうのも…。


(王道…っ)


なんて思いつつも、あたし、ヤバい。

一昨日から、ずぅ~~~~~っと、安堂くんのこと。

脳内、安堂モード。

水に浸けた、空っぽだったお弁当箱さえ愛おしい。

そんなよく分からない感情と付き合い始めて、早数週間は経っている。

お弁当は上達したし、放課後、安堂くんと過ごす時間も日常になり始めていた。


「……知枝里、もしかして好きな男出来た?もしくは…」

「え!?」


なべっちの言葉を遮って、あたしは大きく驚いた。


「す、す、好きな男…!?」

「だってー。なんかここ数週間でめちゃくちゃ可愛くなったし?」

「可愛く…!?」

「男子も噂してるよぉ?知枝里が可愛くなったって」

「えぇ!?」


彼氏いない歴=実年齢。

つまりモテたことない歴(告られたこともないので)=実年齢…。


だったあたしには夢みたいなパラダイス!

…いや、夢みたいなラブニュース!




< 26/ 352 >