気合いは十分だ。

この前買った勝負下着を着用済みだし、ムダ毛処理も完璧。

今日はムーディなネイルカラーにしたし、短すぎるスカートはやめた。

安堂くんは一緒に勉強しようって言ったけど、それはすなわち、病室での約束を果たそうって意味だと思う。

付き合って、4か月目前。

ナッチから言わせてみれば、よくここまで長引かせたもんだって、安堂くんを憐れんでいた。

それも全て、あたしがそういう雰囲気を作ってあげなかったからだと。

……ほんとにそうなのだろうか。

しつこいようだけど、安堂くんの元カノは美坂先生だ。

美人で、大人な、女性だ。

そういう人と3年付き合っていたのなら、考えたくはないけれど、きっとそういう経験だってあったと思う。

…いいの。

今はもう、ちゃんと過去だって清算出来てる。

納得してる。

……うそ。

本当は散々悩んで、考え抜いた。

消せない過去だって分かっていても、やっぱり嫉妬した。

だけど嫉妬からは何も生まれない。

作り出せるのは未来であって、過去じゃない。

安堂くんの未来を、あたしも一緒に作っていく。

それしかないのだと、あたしは自分に言い聞かせた。

だから今まで、安堂くんはそういうことをしようと思えば、いつだって、ロマンチックに強引に、あたしをその世界へ連れていくことができたと思う。

だけどそういうことがなかったのは、安堂くんの優しさだったのかな、とプラスに考えた。

あたしにそういう魅力がないからだとは、考えないようにした。

確かに、泣き虫でわからず屋で、いつも安堂くんを困らせてばかりだけど。

優しい安堂くんに頼ってばかりだけど、でもこの気持ちだけは誰にも負けない。

安堂くんが好き。

誰よりも大切にしたいと思っている。

それはもちろん、自分よりも。