家に戻った私は制服を脱ぎ捨て、最近お気に入りのマキシ丈のワンピースを被った。家の中は暖房が効いているからこれ一枚でも寒くはない。なにより楽だ。

冷蔵庫からオレンジジュースのパックを取り出すと、思いの外軽かったから、私はパックに口を付けてそれを飲み干した。
お母さんがいたらできないこと。
さて、今日は何して過ごそう…無駄に家中を歩き回る。急いで片付けるようなことは見つからなかった。
自室に戻って机に向かってみるけど、教科書を開く気にはならない。宿題をしなきゃいけないときには読みたくなるマンガも、不思議と手が伸びない。
家の中は限りなく無音。

「…寝よう。」

誰も聞いてないのに、つい声に出してしまう。
一人きりなんて…初めてかもしれない。

ベッドに潜り込んで、体を丸める。
少し遅い二度寝くらいの時間で、眠れないかも、なんて思っていたけど、思いの外あっさりと眠りに落ちた、らしい。